マスクは、選択範囲の作成と並んでPhotoshopなどの画像処理ソフトでは、非常に使用頻度の高い手法です。使用頻度が高いだけに、選択範囲と同様に色々なやり方があり、頭ではなく身体で覚えないとなかなか身に付きません。このページでは簡単に身につけられるように、早くて簡単にできる方法から順に並べてみました。
「フレームツール」
フレームツールは、CC 2019 から追加された新しいマスクで、四角や丸などの単純な選択範囲に画像を合成するだけなら、従来のマスクより早くて簡単にできます。
使い方


- 「フレームツール」を選択します。なお、オプションバーから四角または丸の形状を選択できます。
- マスクしたい箇所を選択します。


はめ込みたい画像をドラッグアンドドロップすると、画像が適当にリサイズされてはめ込まれます。なお、はめ込みたい画像はすでに読込み済みのレイヤーからドラッグアンドドロップすることもできます。
はめ込みのサイズ変更

- レイヤーから「フレームレイヤー」を選択します。
- 「編集」>「自由変形」(ショートカット[Ctrl]+[T])を選択するとバウンディングボックスが表示され、はめ込み画像のサイズ変更をすることができます。
「クリッピングマスク」
クリッピングマスクは、下のレイヤーの透明部分の形に、上のレイヤーが切り抜かれます。そのため、まずは下のレイヤーに透明部分がないと利用できません。
方法は以下のように4つあり、どれも結果は同じなので好みの方法をひとつ覚えると良いです。
- [Alt]キーを押しながら、上下のレイヤーの境界をクリックします。
- 上のレイヤーを表示&選択して、ショートカット[Ctrl]+[Alt]+[G]を押します。
- 「メニュー」>「レイヤー」>「クリッピングマスク作成」を選択します。
- 「新規レイヤー作成」>「下のレイヤーを使用してクリッピングマスクを作成」を選択します。

透明部分があるレイヤーを下に用意します。

切り抜く画像を上のレイヤーに用意します。

4つのうちのどれかの方法でクリッピングマスクを適用します。
「ベクトルマスク」
ベクトルマスクは、解像度に依存しないマスクで、シェイプやパスツールを使って作るベクトル形式のマスクです。レイヤーマスクのベクターバージョンなので、拡大縮小に強いというメリットがあります。その代わり、ベクターなのでグラデーションを表現できないデメリットがあります。
パスの作成
作り方には以下の方法があります。
四角や丸など簡単な形状の場合はシェイプツールで大丈夫ですが、複雑な形状の場合は選択範囲をパスに変換する方法が良いでしょう。
- シェイプツールで作る方法
- ペンツールで作る方法
- 選択範囲をパスに変換する方法
シェイプツールで作る方法

シェイプツールをどれか選択します。
マスクをかけたい箇所をドラッグします。すると「パス」タブにシェイプパスが作成されます。
ペンツールで作る方法

ペンツールを選択します。
マスクをかけたい箇所を選択すると、「パス」タブに作業用パスが作成されます。
選択範囲をパスに変換する方法
簡単に変換する方法

- レイヤーパネルで「パス」タブを選択します。
- 下の「選択範囲から作業用パスを作成」アイコンをクリックします。

作業用パスが作成されます。
選択範囲からパスに変換する際に許容量も設定したい場合

- 「パス」タブを表示します。
- 右上の3本線メニューをクリックします。
- 「作業用パスを作成…」を選択します。

選択範囲からパスに変換する許容値を設定して「OK」をクリックします。
選択範囲の作り方は、以下よりどうぞ
「ベクトルマスク」の作成
シェイプやパスで選択範囲が作れたので、選択範囲をマスクに変換していきます。

「レイヤー」>「ベクトルマスク」>「現在のパス」を選択します。
するとパスがマスクに変換されます。
一時的にベクトルマスクを解除したい場合

レイヤーマスクと同様に、ベクトルマスクを右クリックして、「ベクトルマスクを使用しない」を選択します。再度、適用する場合の操作も同じです。
なお、「ベクトルマスクを削除」を選択するとベクトルマスクを永久に削除できます。
また、「ベクトルマスクをラスタライズ」すると、「レイヤーマスク」に変換することができます。ただし、レイヤーマスクをベクトルマスクに変換はできないので注意しましょう。
「レイヤーマスク」
レイヤーマスクは、ビットマップ画像のマスクで、ペイントツールまたは選択ツールで作成します。解像度に依存するため、グラデーションを作ることはできますが、拡大縮小には弱い特徴があります。
レイヤーマスクは選択範囲を作った形にマスクが適用されます。適用する際は、選択範囲の内側を切り抜くか、外側を切り抜くかを選択することができます。

選択範囲を作成します。

メインメニュー「レイヤー」>「レイヤーマスク」>「選択範囲をマスク」を選びます。

上のレイヤーがマスクされ、下のレイヤーが見えるようになりました。

あとは「背景」を選択して、レイヤーに変換して、花のサイズを適当に変更して完成です。
※選択範囲を作成したあとに、[Delete]キーを押して切り抜いても同じことはできますが、マスクの場合は適用をやめると元の状態に戻すことができます。
「レイヤーマスクを使用しない」
マスクは非破壊的な方法なので、解除すると元の画像に戻すことができます。

レイヤーマスクを右クリックして、「レイヤーマスクを使用しない」を選択します。
レイヤーマスクに [×] が付いて、マスクが解除された状態に戻ります。再度、適用する場合の操作も同じです。
永久に削除したい場合は右クリックから、「レイヤーマスクを削除」を選択します。
また、「選択範囲をマスクに追加」を選択すると、マスクを選択範囲の点線に変換することができます。
「選択とマスク」ワークスペースで「レイヤーマスク」を作成する
「選択とマスク」ワークスペースを使って、レイヤーマスクを作成することもできます。
「選択とマスク」ワークスペースに切り換える

メインメニュー「選択範囲」>「選択とマスク」(またはショートカット[Ctrl]+[Alt]+[R]キー)を選択して、「選択とマスク」ワークスペースに切り替えます。
「選択とマスク」ワークスペースに切り替わり、画像が薄く表示されます。

※「オブジェクト選択ツール」などの選択系のツールを選んでいるときは、オプションバーに「選択とマスク」ボタンからアクセスすることもできます。
「クイック選択ツール」で大まかに選択範囲を作成する

「クイック選択ツール」を使って、残したい箇所をドラッグして大まかに選択していきます。
やり直したい場合は、[Alt]を押しながらドラッグします。
選択範囲を確認する

「属性パネル」>「表示モード」>「表示」を確認しやすいモードに変更します。
「境界線調整ブラシツール」で細かい選択範囲を調整する

「境界線調整ブラシツール」を選択します。
細かい箇所を必要に応じて拡大しながらなぞって調整・選択していきます。
作成した選択範囲をレイヤーマスクとして追加する

- 「出力設定」>「出力先」を「レイヤーマスク」に設定します。
- 「OK」をクリックしてワークスペースを終了します。

注意

「選択とマスク」ワークスペースでの作業は「ヒストリー」に残りません。そのため、一旦「OK」をクリックすると、ワークスペースの途中には戻れないので注意しましょう。